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本日は、発酵食品の中でも大好きなぬか床のお店「千束(ちづか)様」の店主、下田敏子様に取材をさせていただきました。
 
 
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冷蔵庫がない時代から栄養面や保存食として、日本人の食を支えてきたぬか床。

現在では、乳酸菌や酵母菌が豊富な食品として、「東洋のヨーグルト」としても注目されています。

その歴史は、正式な文献がなく定かではありませんが、江戸時代に玄米を精米し、おいしい白米ばかりを食べるようになって、江戸病、つまり脚気が流行ったとき、先人たちはきっと、この栄養が豊富で、素晴らしい発酵食品としての糠に注目したのではないかと考えられています。

千束さんのぬか床は、小倉藩主・小笠原公が、信州・松本より「保存食の妙法」として伝えたものが始まりとされており、その後、小倉の旧家では娘の嫁入りの際には、朱塗りの木樽にぬか床を入れ、床の間に飾り、「毎朝夕、我が子のように愛情をこめて混ぜる」という教えとともに、母から娘へ嫁入り道具の一つとして持たせ、代々受け継がれてきたそうです。

「床の間」に飾ったことからぬか床というそうです。

難しいぬか床を、微生物を向き合いながら守れるようになって、女性としては一人前と言われていたのだとか。

そしてぬか床を守れる一人前の女性は、お料理が上手で、家族の健康を気遣って何でもできる女性なのだそうです。


お店の中に入ると、からふわーっとぬか漬けの香りが・・・
 
 
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まずは、お店の2階にあるお食事処にて、お昼をいただきました。
 
 
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お食事処では、季節のお料理をお昼のみ、限定40食で出されています。

千束さんは、もともと下田さんが27歳の時に、このお食事処から始められたそうです。

とても素敵な雰囲気ですね。

料理に合わせた数々の食器がならび、出汁を取ったり、下ごしらえを丁寧にされていることが伝わってきます。


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このお食事処をされている理由は、ぬか床の素晴らしさを話しただけでは伝わず、食べることで伝えることができるからだそうです。


メニューは、2種。


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お魚かお肉のどちらかを選びます。

私はお魚をいただきました。
 
サバをぬか床で3日間(1日2~3時間)じっくり煮込んだぬかみそ炊きです。

※「青魚のぬかみそ炊き」レシピ
http://nuka-chizuka.com/techou_07.html

とても優しい味で、骨も柔らかく、美味しく頂きました。


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ぬか漬けやお味噌などの代々受け継がれてきた発酵食品は、日本人のDNAにぴったりという言葉が印象的でした。


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千束さんのぬか床には、研究者の方が研究され、千束菌という乳酸菌が豊富に含まれているということが乳酸菌学会でも発表されました。

千束菌には、雑菌の抗菌効果があることが分かったそうです。


◆ぬか床診断(ぬか床110番)

下田さんは、ぬか床の管理で悩みを抱える全国の方々より相談を受けられているようです。

実際にお店にぬか床を持ってこられ、舌で確認しながらアドバイスをされていらっしゃいます。

五感で感じるのが一番だそうです。

こういったことができる方は全国にどれだけいるのでしょうか。

下田様によると、本物を食べている人しか感じることができないのだそうです。


◆各家庭で異なる味

人によって、ぬか漬けの味が違うのは、人それぞれの菌の違いによって味が違うと言われます。

下田さん曰く、それは人それぞれの菌の違いというよりも、菌との向き合い方の違いだと仰います。

菌と会話ができ、菌の性質を知っているかどうか。

奥が深いですね。


◆お肌が綺麗な秘訣

下田様は、とてもお肌がキレイだったので、もしかしたらぬかを塗っているのかと思っていたのですが・・・

ごはんにぬか漬けをたっぷり乗せて、「ぬか漬けどんぶり」などにして、いっぱい食べているのだとか。

ぬか漬けは、食べることで美肌を手に入れられる優れものなのです。

また、古漬けを炒め物に加えると、調味料を入れずに美味しくいただけるので、オススメですよと、教えてくださいました。


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ぬか床は、良いぬかがあってこそ、無農薬栽培されたお米のぬかを新鮮なうちに使用するようにされています。
 

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ぬかを少しいただき、口にしてみました。

ぬか床診断は、私にはできませんが、しっかり発酵している味でした。


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ぬか漬けは、様々なお野菜をたっぷり取れます。
 
また、漬けることでぬか床に豊富に含まれれるビタミンやミネラルが野菜にもしっかり浸透し、特にビタミンB群は生で食べるよりも5~10倍も増えているそうです。
 

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全国の家庭で、このぬか漬けが守り継がれ、未来の日本人の健康にも役立てられるようにしていきたいものですね。


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美味しいお食事、そしてたくさんのお話しを聞かせていただきました下田様、この度は本当にありがとうございました。


★ぬか床 千束
〒810-0011 福岡市中央区高砂2-9-5
TEL:092-522-6565